家庭訪問のお作法

お作法

 地域や学校によっては、今が家庭訪問のまっただ中ではないでしょうか。今回は、家庭訪問のあれこれについてまとめてみました。

家庭訪問は何のため?

家庭訪問、いらないのに・・・

 よく聞く声です。実際、コロナをきっかけにして、家庭訪問がなくなった学校、希望制になった学校、個人懇談になった学校など、その後の対応が分かれました。この時期、各家庭に担任が訪問する目的は、以下のことがあります。

・新年度に、子どもについて保護者と情報共有するため。

・子どもが生活している環境を知って指導に役立てるため。

・万が一のときに家や通学路のことを把握しておくため。

 体調面で配慮がいることや、気をつけてみておいてほしいこと、新しい学年やクラスになってからの様子など、個人的に担任に知っておいてほしいことは、多かれ少なかれみんなあると思います。

それなら、学校で話をすればいいのでは?

 保護者にとってというよりも、担任にとって、家庭に直接行くから分かることは多いです。保護者は、自分の家庭しか様子は分からないと思いますが、担任からすると、毎日同じクラスで生活する子ども達は、色々な環境で育っている子がいます。兄弟が多くて賑やかで物であふれた家、格式が高そうな家、共働きで忙しそうな家、社宅や市営住宅などの狭い家、お母さんが専業主婦で子どもの心配がたっぷりできる家・・・。学校で見ている子どもの様子を考えると「なるほど。おうちがこうだからなのね。」と一致し、納得することが多いです。担任として、声のかけ方も変えていきます。物が雑然としている家の子であれば、忘れ物が多いことがあるので、ランドセルから出した教科書類を置く場所を家で決めるように、アドバイスをすることもあります。保護者に電話して、物を探してもらうこともあります。少しの怪我やトラブルでも学校に電話をしてくるお母さんは、時間的なゆとりがある場合が多いので、放課後すぐに連絡をして安心してもらうこともあります。担任は、子どもや保護者を観察しながら、対応を変えています。指導のための、情報収集の手段の一つが、家庭訪問というわけです。

担任と信頼関係を築くには

 担任として、「この保護者は安心だな」と思うポイントを紹介します。

・家が綺麗に整理整頓されている。

・保護者がおおらかな人柄である。(放任というわけではありません)

・家にあがるよう声をかけたりしてくれる。お茶を準備してくれている。

 家の散らかり具合は、子どもの特性に表れます。家に上がらずとも、ゴミ屋敷の気配がしたら、ネグレクトの疑いがあったり、学校生活が荒れている理由として生活の乱れがあったりします。逆に、潔癖すぎる保護者の場合も、自己肯定感の低い子がいたり、他の子を汚い物のように扱ってしまう子がいたりします。

 安定している子は、保護者がおおらかな方が多いです。少し心配なことがあっても、「大丈夫でしょ」と、どんと構えています。人に迷惑をかけるようなことがあれば、すぐにフォローしてくれますが、自分の子の怪我や、学校での失敗を、上手にフォローしてくださいます。また、どんなに若い担任も先生として見て、礼儀をとってくださいます。私も初任の頃には、素晴らしく落ち着いたクラスを受け持ちましたが、家庭訪問では大卒の私に対しても恐縮するくらいに丁寧に接してもらいました。「先生」として接してもらうと、担任はその子や保護者のために頑張らなくては、という気持ちが強くなります。どのような担任であれ、家庭や保護者を比べながら見ています丁寧な保護者、きちんとした家庭として見られるような振る舞いをしておくことに、超したことはありません。

落ち着いている子の親は共通して、「家では大変なんですよー。」とか「家ではおもしろいことをたくさんやっています。」と言います。不思議ですね。学校ではお利口さんでも、家で発散しているようです。

 前もって学校からは、玄関先で話をすると連絡があることもありますが、家に上がるよう声をかけられて、悪い気はしません。私は、1回断っても、再度言われたら、家に上がるというマイルールを設けていました。玄関先に、お茶を準備してくださる保護者もいました。涼しげなコップに入ったお茶、持って帰れるペットボトルのお茶や個包装のお菓子、それぞれの気配りがとても嬉しいものでした。子どもが玄関先まで、お盆にのせてお茶を運んでくれる家も珍しくありませんでした。家庭訪問でお茶出しの経験をさせるなんて、子育て上手な保護者だなと思います。

担任と仲良くなっておきましょう

 年度の初めにあることが多い、家庭訪問。10分もない時間のために、わざわざ家にいたり、片付けたりと、面倒くさいと思ってしまいますよね。ただ、これをチャンスと捉えて担任と仲良くなっておくと、メリットがとても大きいです。我が子という共通の話題で、楽しく話をしておきましょう。大切な話がある家庭も、特にない家庭も、担任との相性がいまいちかも・・・という家庭も、大人同士しっかり連携する姿勢を見せておきましょう。1年間、本当に何が起こるかわからないのが学校です。

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